Monday, August 27, 2018

分解:K270

部屋の片づけをしていたところ、不要な家電製品をいくつか見つけました。
モノづくりに係るものとして、既存製品から勉強したいと思います。
製品を分解することで多くのノウハウを学ぶことができるはずです。

今回は株式会社ロジクールK270というロングセラーのキーボードです。
使用する工具は、No.2のプラスドライバとT9のトルクスレンチです。
いつも通り、67in1 特殊精密ドライバー スマホ分解 修理 磁石付き工具 青ので分解できました。

K270の分解


分解前の確認

分解前に製品を眺めてみます。


右上に電源スイッチがあります。
キートップの文字はシルク印刷にコーティングが施されているようです。
ON/OFFの文字と、企業ロゴも同様にシルク印刷ですが、コーティングはありません。
樹脂には粗めのシボが入っています。


背面にはスタンドが2箇所、スポンジのようなゴム足が5箇所取り付けられています
その他は、紛失防止用にUSBドングルを挿して保管するスロットと、電池交換用のカバーがあります。
筐体の固定ネジは見えるだけで14箇所確認できます。
樹脂には粗めのシボが入っています。表面の黒と同程度の深さだと思います。


注意書きはシルクで印刷されていますが、銘板はモールドされています。
Unifyingのロゴもシルク印刷のようです。

背面カバーの取り外し

見えている14本の鍋十字ネジと、1本のトルクスネジを外します。
さらに背面の目隠しシールの下に鍋十字ネジが1本隠れているのでそれも外します。
ひっかけと爪がかなりつよくかんでおり、力をいれて外す必要があります。


背面カバーはABSとHIPS(耐衝撃性ポリスチレン)の複合材のようです。


電池カバーは爪で固定されています。
スリット部を変形させて爪を外します。



スタンドは樹脂とゴム系のスポンジが貼り付けられています。
スリット部を押して変形させることで、ダボの位置を変えてはめ込む構成です。
誘い用のスリットが受け口にあり、スルッと入ります。

メンブレンの取り外し

正面カバー側にはメンブレンシートと、制御基板、キーが残ります。

まずは、左上のメンブレンの端子を外します。
その他にダボはありますがメンブレンを固定するものはないようです。



メンブレンの端子は、板金とシリコンゴムで押さえつけて固定されています。
板金は亜鉛処理鋼板で、位置決め用のスリットと穴があります。
穴にシリコンゴムをはめて、板金と筐体の取り付けで接触圧を稼いでいるようです。
これでいいのかと不安になります。



メンブレンシートは透明なFPCで構成されています。
2つの電極が圧力を受けて触れ合うと、通電する仕組みです。
マトリクス状にこのスイッチが配置され、受け側の端子で通電の組み合わせからどのキーが押されたか読み取れることができます。
2枚のFPCの間にはスペーサとして、透明なPETのようなフィルムがはいっていました。


打鍵時の反力とメンブレンの圧迫に使用する、シリコン性のラバードームがメンブレンの上に乗っています。
位置決め用のダボと、成形時の流れやすさを増すためのランナーのようなものが設けてあります。
Fキーなどは小さいので、ラバードームも小さいようです。


ラバードームは圧迫されると潰れて、FPCを微小に変形させることで電極を接触させます。
打鍵感を決めるので重要な部品です。

メイン基板の取り外し

メンブレンの接続部を抑えているネジを外せば、メイン基板が外せます。



電池用の端子が差し込まれているので、ケーブル側を引き抜きます。
次に、基板とマイナス端子を同時に持ち上げます。
メインボードは位置決め用のダボだけで、爪ではめ込まれていません。


メイン基板のチップはNORDICのnRF24LEです。
Ultra-low Power Wireless System On-Chipとのことなので、無線チップでIOを処理しているのでしょう。


ウラ面にはLEDがあります。
これはPowerランプのようです。


基板裏側に電源スイッチがあります。
スイッチの向きをまちがえないように、矢印がモールドされています。
その下のパーツは先程のLEDライトガラスで、熱圧着で固定されています。


電源スイッチの赤と緑の色はシールでつけられています。


ライトガラスのウラ面から黒のシルクが入っており、これで遮光と部品の色付けをしています。
表面から見ると黒の光沢パーツに見えるのは面白いです。

キーの取り外し

キーは角状のガイドにハマっており、爪で抜けどめがついています。


爪をマイナスドライバーなどで倒しながら押し込めば、キーが抜けます。
裏からどのキーをどこにはめるのかはわからないので、キーと配置表を見ながら作業する必要がありそうです。


Enter、Space、Shiftは大きいキーなので、安定させるためにワイヤーでスライドリンクを組んでいます。
これによって、端のほうを打鍵しても傾きにくくなっています。



キーの樹脂型は、全部で18種類あります。
共通にできそうなのに、微妙に形状が異なるものがありこだわりを感じます。


キーだけ集めると116個もあります。



キーを外すと、角状のスライド部はほぼ同じ構造であることがわかります。
背面カバーはABSとHIPS(耐衝撃性ポリスチレン)の複合材のようです。


最後に、紛失防止用にUSBドングルを挿して保管するスロットに使用するゴムパーツが残ります。
これは、スタンドに使用しているゴム系のスポンジと共通部品です。
素材は不明ですが、適度に柔らかく摩耗にも強い素材のようです。

組み立て順を考える

最後にこの製品の組順を考えます。
このキーボードの部品は大まかに以下のとおりです。

・キー116個
・スライドリンク用ワイヤ 3個
・メンブレンシート  1枚
・ラバードーム 1枚
・メンブレン抑えゴム 1個
・メンブレン抑え板金 1個
・メイン基板 1枚
・筐体上(黒)  1個
・ライトガラス  1個
・スイッチ 1個
・スイッチフィルム  1枚
・筐体下(灰)  1個
・筐体ゴム脚小 3個
・筐体ゴム脚大 2個
・スタンド 2個
・スタンド・USBドングル保持用 ゴム 3個
・シリアルナンバー 1枚
・ネジ穴目隠しシール 1枚
・B0タッピングビス φ2.6x7mm 鍋十字 16本
・B0タッピングビス φ2.6x7mmトルクス 1本

以下の部品はSubAssyにできます。
・筐体下(灰)Assy
 ・筐体ゴム脚小 3個
 ・筐体ゴム脚大 2個
 ・注意書きシール
 ・スタンドAssy 2個
  ・スタンド 2個
  ・スタンド・USBドングル保持用 ゴム 2個

・筐体上(黒) Assy
 ・キー116個
 ・スライドリンク用ワイヤ 3個
 ・スタンド・USBドングル保持用 ゴム 1個
 ・ライトガラス  1個

・スイッチAssy
 ・スイッチ 1個
 ・スイッチフィルム  1枚

・メンブレン抑えAssy
 ・メンブレン抑えゴム 1個
 ・メンブレン抑え板金 1個


SubAssyができたら、筐体上(黒)Assyに次の順で組み付けていきます。
スイッチAssyを溝にはめて、メイン基板を組み付けます。
次に、メンブレンシートを載せて、メンブレン抑えAssyで端子を抑えるように組み付けます。
最後にラバードームを載せたあとに、筐体下(灰)Assyをはめ込みネジ止めします。

動作確認ができたら、ネジ穴目隠しシールとシリアルナンバーを貼り付ければ完成です。

以上のような、組順はいかがでしょうか。

まとめ

今回は株式会社ロジクールK270を分解しました。
値段の割にパーツ数も多く、こだわった製品であることがわかります。
メンブレンのラバードームは参考になりました。

今回は以上です。

Saturday, August 25, 2018

AtomでPythonを開発する環境を作る

Pythonの開発環境をUbuntu18.04に移したので、エディタも変えることにしました。
今まではPyCharmでしたが、今回は話題のAtomを使ってみることにしました。

Atomの導入

https://atom.io/
上記サイトから、自分の環境に合わせたインストーラを入手します。
私はUbuntuなので、debファイルをDLしました。
このときのバージョンは1.29.0でした。

DLしたdebファイルをダブルクリックして、インストールボタンを押せば完了です。
Ubuntuもコマンドなしでインストールできるようになったんですね。


windowsキー(Superキー)を押して、Atomと検索すれば実行できます。



パッケージの導入

Atomはオープンソースのエディタで豊富なパッケージで好みのカスタマイズできるのが魅力です。
パッケージを追加すれば、エディタ上でPythonを実行することもできます。
まず、邪魔なペインは消してしまってかまいません。
Edit > Preferancesを選択します。
するとSettingsペインが開くので、Installを選択します。



Install Packagesのsearch packagesとかかれたパレットでパッケージを検索します。
japanese-menu
 日本語化したい人は入れましょう。

autocomplete-python
 Pythonコードのオートコンプリートを行ってくれます。
 その他の、言語でも似たようなパッケージがあります。

atom-runner
 Atom上でスクリプトが実行できるようになります。

atom-python-virtualenv
 Pythonのvenvを使用して実行環境を切り替えることができるようになります。

AtomでPythonを実行してみる

File>New Fileでuntitledのファイルを作成します。



右下を見ると、デリミタ、文字コード、ファイルの種類が書かれているます。
ここをクリックすると、このファイルの前述の設定を変えることができます。
今回はPythonの開発が行いたいので、Plain Textと書かれた部分をクリックします。
すると、パレットが現れるのでPythonと入力していれば、Pythonが候補に現れるので選択してください。



これでPythonの開発を行えます。
試しに、以下のコードを入力してAlt + Rを押してみましょう。

print(1 + 1)

すると、右下にAtom Runnerのペインが現れて実行結果が表示されているのがわかります。
無事にPythonコードの開発と実行ができることを確認しました。
ちなみにターミナルではないので、printを行わないと結果は表示されません。





venvのAtomでの使い方

先程の例では標準の実行環境が選ばれていました。
atom-python-virtualenvを導入していれば、左下にno virtualenvと書かれています。
ここをクリックすると、venvで作成した環境が選択できます。
私の場合は、KerasとTestという環境が選択できます。
選択できる環境は/home/<username>を参照しているようです。
Desktop以下においたものは見つけることができませんでした。



今回はKerasを選択してみます。
無事に読み込めれば、以下のようにSuccessと表示され、左下も選択した環境名に変更されます。



Kerasという環境にしか入れていないパッケージをimportして実行してみます。
結果は無事に動作していること確認できました。



まとめ

今回は、オープンソースのエディタで豊富なパッケージで好みのカスタマイズできるAtomで、Pythonの開発環境を作りました。
色々と便利なパッケージがあるようなので、自分好みに染めてみてください。

Wednesday, August 15, 2018

分解:IODATA HDC-U500

部屋の片づけをしていたところ、不要な家電製品をいくつか見つけました。
モノづくりに係るものとして、既存製品から勉強したいと思います。
製品を分解することで多くのノウハウを学ぶことができるはずです。

今回は電源などがどっかに行ってしまった、外付けHDDを分解したいと思います。
株式会社アイ・オーデータ機器のHDC-U500というかなり昔の製品です。
使用する工具は、No.1とNo.2のプラスドライバです。
67in1 特殊精密ドライバー スマホ分解 修理 磁石付き工具 青のレビューにありましたが、太いねじは接合部がねじれてトルクがかけられません。
#6-32のインチネジが外せずに、別の丈夫なドライバを使用しました。

HDC-U500の分解


分解前の確認

分解前に製品を眺めてみます。

この製品はプラスティックのカバーで覆われ、側面はアルミが露出しています。
製品正面には、POWERとACCESSランプ、企業ロゴが入っています。


背面にはポートがありUSBケーブルと電源がさせます。
また、盗難防止用にセキュリティスロットがあります。
段落ち部に機銘板が貼り付けられています。


企業名とブランドの刻印がされています。


裏面には、注意書きが。
背面のシールは掘り込みがあったのですが、こちらにはありません。
開発段階では貼るつもりがなかったのかもしれません。

カバーの取り外し

背面のカバーを持ち上げて外します。
ひっかけと爪がありますが、爪側から持ち上げれば外せます。



背面カバーにセキュリティスロットが設けられていました。
爪側にスロットがあるので、強く引っ張るとカバーごと取れてしまいます。
これは問題です。


上面と背面のカバーを背面側にスライドすれば外れます。
カバーはABS製です。
溝が彫られており、カバーを固定できます。
正面のカバーは上下のカバーで抑えられているの、先にそれらを引き抜けば取れます。






側面のアルミパーツは押出し材でした。
このアルミ筐体にいろいろな部品を取り付ける構造です。
上下の面に、後からミーリングした跡が見られます。
一方だけHDDの固定ネジにバネ性を持たせた加工がされています。
これでHDDの位置取りをしているようです。

POWERとACCESSランプはライトガラスで導光していると思ったのですが、
LEDが直接露出していたようです。
アセテートテープで配線保護と配線ガイドを行っています。

基板とHDDの取り外し


#6-32のインチネジが上下で2本ずつ4本あり、HDDをアルミ筐体に固定しています。
また、黒いM3鍋十字ネジで、板金パーツとアルミ筐体が固定されています。
ここはネジ穴の位置がぎりぎりで組み立ては大変だったかもしれません。


アルミ筐体からHDDを引き抜くと、このような状態になります。
基板は板金パーツに銀のM3の十字鍋ネジ2本で固定されています。
HDDはHITACHI製でした。


基板を取り外すと、板金だけになります。
t0.8の亜鉛処理鋼板を金型で抜いているようです。
t0.2のSUS製のガスケットでUSBポートと導通を取っています。
結構豪華です。 




基板は、(たぶん)両面プリントで厚みは1.6です。
電源とLEDはケーブルが直付けされています。
さらに、ホットメルトに見える樹脂でケーブルの根元が固定されています。
電源側はほぼ埋まっていなので、作業不良かもしれません。

IDE-USB変換のICは優 D84734Aというものでした。
同社のCDドライブやUSBドライブに使っているメーカのようです。


組み立て順を考える

最後にこの製品の組順を考えます。


もう一度見返すとフロントパーツにLEDを受ける爪がありました。
この作業はフロントカバーが先にないとできないので、組順はほぼ確定です。
組み立て順は、HDDに基板を接続して、アルミ筐体に格納する。
LEDを引き回してフロントカバーにつけて、アセテートテープで固定する。
上面、下面カバーをスライドして取り付ける。
最後に背面カバーを押し込むという順です。

まとめ

今回は株式会社アイ・オーデータ機器の外付けHDD、HDC-U500を分解しました。
筐体はアルミ押出材をうまく使った構成になっています。
スマートではない部分もありますが、参考になる点が多くありました。
電子基板は配線方法が見ていて不安になります。
メカ屋と電気屋が仲良くなかったのかもしれません。

今回は以上です。